穴の空いた両の手で
喉の渇きは潤せず
甘いはずの水は
掬っても零れてゆく
穴の空いた両の手で
目を遮ることは出来ず
柔らかな熱源が
視神経を焼き切りました
腕の無い三重の
振り子が描き出す背骨を
短慮な烏が
啄ばむのでした
不快な音を鳴らして
無い爪を立てる
形骸化した心地よさには
遅効性の毒があるのです
見たいモノだけを見て
信じたいモノを信じ
目が覚めたときは既に遅し
死に至るでしょう
全てあなたの所為です
○ ○ ○
穴の空いた両の目で
逃げ水を追いかけて行く
気がつけば遠くまで
歩いてしまいました
穴の空いた両の目で
硝子の向こうをそっと見る
意味のない言葉は
此の世に存在しないのです
陰になり日向になり
顰蹙の密売商人が
土足で踏み込んで
来るのでした
ただ緩やかに黄昏て行く
誰も止め方がわからずに
心臓の位置を避けるようにと
横から杭が打ち込まれました
不快な音を鳴らして
無い爪を立てる
形骸化した心地よさには
遅効性の毒があるのです
見たいモノだけを見て
信じたいモノを信じ
沢山の足の音が
近づいていたのか。
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